現存する五重6階の天守としては日本最古の松本城。
姫路城、犬山城、彦根城、松江城と並ぶ国宝城郭の一つです。
今回は松本城を紹介します。
松本城の歴史・特徴
戦国時代、永正年間につくられた深志城が始まりです。
武田信玄が統治していた時代もありましたが、本能寺の変による混乱のスキをついて小笠原貞慶が奪還。松本城と改めました。
小笠原貞慶は土手や屋敷を築き、整備を進めていきます。
1590年に徳川家康が関東へ移動すると、松本城主だった小笠原秀政も関東へ移ります。
石川数正・康長親子が代わって入城し、城と城下町の整備を進め、現在の松本市の基礎を固めました。
1634年に辰巳附檜・月見檜が増設され、現在でも見ることができます。
それから大政奉還が行われた1867年までに石川氏・小笠原氏・戸田氏・松平氏・堀田氏・水野氏の6家23名が城主を努めます。
松本城は2度大きな火事を経験し、本丸御殿を全焼したり、三の丸・二の丸の一部を焼失したりしました。
廃藩置県後は、県庁となり城郭の門が壊され、堀の一部が埋め立てられます。
1930年に松本城は国の史跡に指定され、管理されることになりました。
その後、公園化が進められ現在の姿となります。
松本城の外装は、黒と白のコントラストです。壁面の下部分は黒、上部は白に漆で塗り分けられており、壁面を美しく見せています。
外部構造は五重ですが、内部は6階建てとなっていて外と内の階層が違うところも特徴です。
望楼型(ぼうろうがた)と呼ばれる天守のつくりをしていて、1・2階部分に3階以上の建物を乗せたようになっています。
大天守と辰巳附檜・月見檜を複合式天守と呼び、松本城だけに見られる特徴です。
松本城の見どころ
6階建ての大天守は各階に見どころがあります。一つひとつ紹介します。
1階に石落と呼ばれる窓があり、城を攻められた場合、石を落としたり、熱湯をかけたりしていました。
2階の武者窓は格子がはめ込まれ、その隙間から火縄銃を撃っていたそうです。
3階には窓のない隠し階があり、物資をおくための倉庫として使われていたと考えられています。
4階に斜度が61度の急な階段があり、観光する際は気をつけたいところです。
大天守は1900年代に入ると傾いてしまい、倒壊する恐れがありました。そのため10年かけて修繕されるのですが、傾いた天守を直すため柱を縄で引っ張った伝説があります。
実際に5階の北側に引き起こした痕跡と思われる縄のあとが見られます。
6階の天井は鎌倉時代から伝わる建築技術「桔木構造」が使われていますが、これによって屋根が軒下に下がらないようになっています。
松本城へのアクセス
松本ICから車で15分
JR中央本線松本駅から下車し徒歩15分