茨城県水戸市にある水戸城は、日本最大級の土造りの城として知られている。石垣を用いず、自然の地形を活かした防御構造を持つこの城は、かつての水戸藩の中心地だった。復元された大手門や二の丸角櫓、そして現存する薬医門を巡ることで、往時の姿を偲ぶことができる。今回は、そんな水戸城の歴史的背景や見どころを紹介しつつ、実際に訪れた際の体験を交えながらその魅力を伝えていきたい。
水戸城の歴史と特徴
水戸城の歴史は、平安時代末から鎌倉時代初期にかけて築かれた馬場氏の館にさかのぼる。その後、江戸氏、佐竹氏を経て、江戸時代初期に徳川頼房が入城し、水戸徳川家の居城となった。
この城の特徴として挙げられるのが、大規模な土塁と深い堀。北は那珂川、南は千波湖に挟まれた天然の要害に位置し、西側には五重の堀、東側には三重の堀が巡らされていた。石垣を築く計画もあったが、実現することはなかった。とはいえ、その堅牢な構造は、江戸時代を通じて水戸藩を支える要となっていた。
見どころ
1. 復元された大手門
城の正門にあたる大手門は、城内で最も格式の高い門だった。明治時代に解体されたが、令和2年に復元され、往時の姿がよみがえった。巨大な門をくぐると、当時の城下の雰囲気が感じられる。
2. 二の丸角櫓
かつて二の丸の南西角に建てられていた櫓で、令和3年に復元された。6月27日から一般公開が始まり、内部の見学も可能。二層構造の美しい姿が印象的で、城の防衛機能としての役割を再認識できる。
3. 現存する薬医門
水戸城内で唯一現存する建築物が薬医門だ。本丸の橋詰御門として機能していたと考えられており、現在は水戸第一高等学校の構内に移築されている。長い歴史を持つ貴重な遺構であり、城の歴史を語る上で欠かせないスポットだ。
4. 大シイ(スダジイ)
佐竹氏の時代から生育していたと伝わる大きなスダジイの木が、城跡に残っている。樹齢数百年ともいわれるこの木は、城の歴史を静かに見守ってきた存在だ。その姿を眺めるだけで、時の流れを感じることができる。
5. 弘道館
水戸城の三の丸に作られた藩校・弘道館も見逃せない。江戸時代の水戸藩における教育の中心として機能し、現在は歴史的建造物として公開されている。学問を重んじた水戸藩の気風を感じることができる場所だ。
実際に歩いてみた水戸城跡
水戸駅から徒歩約10分で到着。まず目に入るのは堂々たる大手門。門をくぐると、広がるのは緑豊かな城跡。復元された二の丸角櫓は風格があり、櫓の周囲を歩くと、当時の武士たちが警備していた様子が目に浮かぶ。
さらに、薬医門へ向かうと、その小ぶりながらも厳かな佇まいに目を奪われる。長い歴史を経てなお残るこの門は、まさに城の過去を語る生き証人。思わず手を触れたくなるが、歴史的価値を考え、静かに眺めるにとどめた。
そして、大シイの木の前に立つ。太い幹、広がる枝葉。どっしりとした存在感があり、この地の歴史を体現しているかのようだ。城跡巡りの締めくくりにふさわしい、荘厳な雰囲気が漂っていた。
水戸城跡へのアクセスと基本情報
- 所在地:茨城県水戸市三の丸
- 料金:無料
- アクセス:
- JR常磐線「水戸駅」北口から徒歩約10分
- 常磐自動車道「水戸IC」から約30分
- 北関東自動車道「水戸南IC」から約15分
- 駐車場:水戸市役所周辺の駐車場を利用可能
まとめ – 水戸城跡は歴史を感じる旅に最適
水戸城跡は、城好きはもちろん、歴史に興味がある人にとっても魅力的なスポットだ。復元された大手門や二の丸角櫓、現存する薬医門などを巡ることで、水戸藩の歴史を肌で感じることができる。また、緑豊かな城跡を歩くだけでも心が落ち着く。
江戸時代の風景を思い浮かべながら、当時の人々の暮らしに思いを馳せる。そんな歴史ロマンあふれるひとときを味わいに、水戸城跡を訪れてみてはいかがだろうか?